リリックス・ボーン

リリックス・ボーン(Lyrics Born)―日本人とイタリア人の血を引くこの男は、アメリカ合衆国はサンフランシスコのベイエリア―いわゆる西海岸を根城に活動を続ける名高いラッパーである。

2008年の年明けに歌うリリックス・ボーン―その肖像
2008年の年明けに歌うリリックス・ボーン―その肖像

ダイエット・コークのテレビCM、モトローラ、MLB2006、映画『ウェイティング...(Waiting...)』などといった様々な媒体で用いられた"コーリン・アウト(Callin' Out.)"―を筆頭に、その楽曲は合衆国内の数多のテレビ番組やビデオゲームを飾り、そうしたフィーチャー(後押し)を背景に、北アメリカはもちろんのこと、南アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパから日本までにまたがり、実に年間150にのぼる数のライブを世界各国で行っている。

そんなリリックス・ボーンは、1972年―トム・シムラ(Tom Shimura)という名で日本の東京にその生を受け、その幼少期を東京とソルトレークシティ(ユタ州)とで過ごした。ヒップホッパーとしての来歴が始動したのはUC Davis(カリフォルニア大学デーヴィス校)に在学していたときのことで、このカレッジのラジオ局―KDVSでDJをやっていた。

そうしたなかで、1992年にインディーズレーベルのソールサイズ(Solesides)―のちのクアナム・プロジェクツを仲間と共同で立ち上げ、やがてブラッカリシャスギフト・オブ・ギャブにチーフ・エクセル(Chief Xcel)、DJのジョシュ・デーヴィス(Josh Davis)、ヒップホップ・ジャーナリストのジェフ・チャン・・・などなどといった、UC Davisと西海岸界隈の仲間達とともに台頭してゆくのである。

1996年にラッパーのラティーフとともにラティリックス(Latyrx)というグループを組み、それから1999年までの間に5枚のアルバムを送り出す。それらのなかでも1997年に出したアルバム―その名も"ジ・アルバム(The Album)"―は、インディーズながら世界的規模にわたっておおよそ10万枚を売り上げた。

2007年―シアトルにてその舞台に歌うリリックス・ボーン
2007年―シアトルにてその舞台に歌うリリックス・ボーン

その単独での活動が本格的に始動したのは2003年のことであった。この年にリリースしたアルバムはその初のソロLPにあたるもので、"レイター・ザット・デイ(Later That Day)"と題してヒットシングルの"コーリン・アウト"などなどを収め、DJシャドウやギフト・オブ・ギャブ、そして自らの妻でソウルシンガーのジョヨ・ヴェラーデらからフィーチャーを受けた。ちょうどこの頃に、それまで名乗っていたエイジア・ボーン(Asia Born)から、その名をリリックス・ボーンに変ゆ。

2005年に自らのレーベル―クアナム・プロジェクツ―より2枚目のアルバムとなる"セイム !@#$ ディフェレント・デイ(Same !@#$ Different Day)"をリリース、様々な方面からのフィーチャーを受け、その翌年には通算4枚目のLPとなる"リリックス・ボーン・バラエティ・ショー・シーズン・トゥー(Lyrics Born Variety Show Season Two)"をDJエンキ(DJ Enki)のミックスを通してリリース。2枚のLPを送り出した2008年には、それらをあわせてそのアルバムは総数7枚に達している。

その人生の大部分を過ごし、今も数多の仲間達とともにあって自らの根城とし続けているように、サンフランシスコの沿海地域―西海岸という場所と切ってはおそらく語れないであろう人物。

音素と中間韻の活用による複雑な踏韻技術、あわせて膨大な語彙を駆使して組み上げてゆくそのナンバーの数々。放つカリスマ性と独特の存在感―そしてどうしたわけか『上品』などと評されもするそのスタイルは、その輝きをして数多の世界にその名を知らしめている。

LP

  • "Later That Day" [2003/Quannum Projects]
  • "Lyrics Born Variety Show Season One" [2005/Mobile Home Recordings]
  • "Same !@#$ Different Day" [2005/Quannum Projects]
  • "Lyrics Born Variety Show Season Two" [2006/Mobile Home Recordings]
  • "Overnite Encore: Lyrics Born Live" [2006/Quannum Projects]
  • "Lyrics Born Variety Show Season Three" [2008/Mobile Home Recordings]
  • "Everywhere at Once" [2008/Epitaph Records]

資料

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