天台宗トップの住職がチベット問題について涙ながらに語る

天台宗トップの住職がチベット問題について涙ながらに語る(てんだいしゅう―じゅうしょく―もんだい―なみだ―かた)は、einsfiaという日本在住の33歳の人物(公称)によって、2008年4月4日(米国時間)にユーチューブに公開された、とあるテレビ番組の一片を収録した映像である。

全長9分12秒。その内容は、関西テレビの提供による関西ローカルの情報番組―『ぶったま!』の2008年4月5日の生放送の場に僧侶の金子氏とともに現れた、兵庫の姫路に伽藍を据える名高い古刹―天台宗別格本山―圓教寺(えんぎょうじ)の僧侶を務める大樹玄承(おおきけんじょう)が、その数週間ほど前に起こった中国によるチベットの弾圧についての思いを吐露したうえで、自らを含む日本の仏教者たちに提言を行う―というものであった。

映画『ラストサムライ』の一舞台ともなった天台寺―書写山(しょしゃざん)、圓教寺。遥か古の代から連なる歴史を秘める名刹の僧侶がこうした形で出演するまでに至ったのは、この番組の定期出演者であるジャーナリスト―青山繁晴(あおやましげはる)のブログのある記事[1]に大樹僧侶自身がコメントを行ったことに始まる。その放送の14日ほど前に行われたそのコメントのもとで、『同じ仏教徒として何もしないまま来てしまいました。』―そう語った大樹僧侶に、青山繁晴自身が新たな記事[2]をもって返答。かくして、自らのその名を署名に付すと同時に、この寺の号をも署名としたうえで、したためてきた声明の言を生放送にて発したのであった。

そのアップロードからおおよそ15時間後の時点でその閲覧数は少なくとも数万にのぼり、同時点で数十の栄誉(Honor)を獲得し、同時点でそれに100以上のコメント―ほとんどが日本語―が寄せられていたが、いつしか削除された。

目次

声明 ―大樹玄承

『・・・今、私達、日本の仏教者の真価が問われています。チベットでの中国の武力行動によって宗教の自由が失われることに、心から、悲しみと已むに已まれぬ抗議を表明せずにはいられません。私達はあくまでも宗教者、仏教者として、僧侶をはじめとするチベット人の苦しみを、もはや黙って見過ごすことはできません。
―『日本の仏教者として』
―『日本の仏教者として』
チベット仏教の宗教的伝統を、チベット人の自由な意思で守るということが大切な基本です。皆さんは日本の全国のお坊さんがどうしているのかとお思いでしょう。日本の各宗派、教団は、日中国交回復のあと、中国各地で御縁のある寺院の復興に力を注いできました。私も中国の寺院の復興に携わりました。しかし、中国の寺院との交流は全て―北京を通さずにはできません。ほとんど自由はなかった。これからもそうだ―と、全国のほとんどの僧侶は知っています。そして、日本の仏教教団がダライ・ラマ法王と交流することを北京が不快に思うこともよく知られています。あくまでも、宗教の自由の問題こそ重大であると私は考えています。
しかし、チベットの事件以来、3週間以上が過ぎてなお、日本の仏教界に目立った行動は見られません。中国仏教界が大切な友人であるなら、どうして何も言わない、しないでよいのでしょうか。ダライ・ラマ法王を中心に仏教国としての歴史を重ねてきたチベットが、今―なくなろうとしています。私達は宗教者、仏教者として、草の根から声を上げていかなければなりません。しかし、私の所属する宗派が中国の仏教界関係者から抗議を受けて、私はお叱りを受ける可能性が高いし、このように申し上げるのは、『私達と行動を共にしましょう』ということではないのです。それぞれのご住職、団信徒の皆さんが、これをきっかけに自ら考えて頂きたいのです。
オリンピックに合わせて中国の交流のある寺院に参拝予定の僧侶もいらっしゃるでしょう。この情勢のなか、中国でどんなお話をされるのでしょう。もし、もしも宗教者として毅然とした態度で臨めないならば、私達はこれから、信者さん、檀家さんに、どのようなことを説いてゆけるのでしょうか。
私達にとってこれが、宗教者、仏教者であるための最後の機会かもしれません。
書写山 圓教寺 執事長 大樹玄承
平成二十年 四月五日』

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