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2007年12月1日 (土) 17:07の版

観月山との山号を称する浄土真宗の一ヶ寺―西宗寺(さいしゅうじ)というその寺は、同宗の本願寺派に属して福岡教区の早良組(さわら-)におり、遥か悠遠の昔からそこに時を刻み続ける霊峰―油山(あぶらやま)の麓の町にその伽藍を置いている。

画像:西宗寺 IMGP0227.JPG
晩秋の日の集落にのぞくその本堂

目次

歴史

時は遥かなる古の時代。海の向こうは遠く西域―インド―の地よりこの地に来訪した清賀という名の僧がいた。時の帝の勅願を受けて清賀は、筑紫(ちくし)の地のある山のうちに、七堂伽藍とその数700を超える坊舎を建立―のちに油山と呼び習わされるようになったこの山は、それ以後、その界隈に数多の坊を控え、この地に随一の霊地となってゆくのである。

この寺もかつてはその油山の坊群のうちの一坊―時も下って360を数えた時代の一坊として、この360坊の開祖―渓仙の創建であるとの縁起を伝えながらにこの地にあった。

近世の幕開け迫る天正の頃(西暦1573~1591年)に兵火を被り山の主坊が消失すると、そこに辛うじて焼け残った観音像―油山観音―の守護の役目を負うようになり、ちょうど『大阪冬の陣』の前年にあたる慶長18年(西暦1613年)に宗旨を真宗に改め、時の同宗本山法主・准如(じゅんにょ)から木仏と寺号を賜り、浄土真宗の一ヶ寺として新たに開山。近世―江戸時代―のうちの少なくとも一時期は博多(はかた)の万行寺(まんぎょうじ)の末寺としてあった。

それから時も大きく下って近代に入り、昭和7年(西暦1932年)、粕屋の安楽寺から釋正信が入寺、第14世の住職となり、それから41年を経て昭和48年(西暦1973年)、第15世・釋正明の時代に、山門を兼ねる納骨堂が落成。

この第15世住職の話では、その3代前―第12世―の住職は本尊まで質に入れた放蕩者で、次代(13世)との間に約10年間の無住の時があったという。

昭和52年(西暦1977年)には客殿が落成し、昭和61年(西暦1986年)には、今に残る本堂と納骨堂と庫裏が新築、落成した。

古記

  • 『西宗寺 ムラウチ 眞宗西 佛堂
観月山と號す。萬行寺に屬せり。慶長十八年八月准如聖人より寺號木佛を許さる。』
―筑前国続風土記附録>早良郡>東油山村
  • 『西宗寺
村内に在。真宗西万行寺の末なり。』
―筑前国続風土記拾遺>早良郡>東油山村

伽藍

脊振(せふり)の山々に連なる霊峰―油山のその峰は、福岡県都・福岡市のその南の外れのところにあって、城南区(じょうなん-)からその西に続く早良区にかけて木々の緑とともに横たわる。

近世からここ筑前国福岡の政(まつりごと)の中枢の地であったところ、これ今に至って中央区(ちゅうおう-)と呼ばれる市街の地―その一角から南に向かって発し、そのまま下ってかの霊峰へと続く道路がある。すなわち、『油山観光道路』である。

観月山―西宗寺の伽藍は、この道路がかの霊峰にぶつかり途切れようとするところ―この油山観光道路の南の端に近いところにあって、かの霊峰の東の麓の町の一角に置かれている。

この道路の東の傍にあって、ちょっとした高所に位置する境内。
画像:西宗寺 IMGP0230.JPG
『浄土真宗』―『観月山』―『西宗寺』 ―その宗旨と山号と寺号とを刻む石。
その門のありどころは、この道路のほうから見てもわからず、更には反対側の集落のなかから見てもわからなくなっている。つまり入口がどこにあるのかわからない―初来拝者の多くがおそらく。

庫裏や納骨堂とともに昭和61年(西暦1986年)に新築されたものという本堂は、この道路とは反対のほうの集落に向けて―北にその正面を向けて建っている。『開かれている』ことを思わせる入口はそちらのほうにも見当たらない。宗旨・山号・寺号を刻んだ石がそちらのほう―すなわち北のほうに置かれており、その脇にあるいは入口とも思しき通路のようなものがありはするものの、それは一見では私用の駐車場のようなものにしか見られない。

そうしたところに境内を囲む塀の姿も相まって、まるで訪れる者の入寺を拒絶しているかのような―いささかながらも感じの悪い様相の伽藍となっている。

画像:西宗寺 IMGP0319.JPG
晩秋の夕刻に沈むその伽藍

開発の波に呑まれゆくなかで風情を失い久しくあるような―要するに、20世紀の後半からこの国に掃いて捨てるほど生まれてきた、そして今も生み出され続けている、風情の欠片も持ち合わすことなき犬の糞のような新興住宅街に四方を包囲されながらも、その伽藍のすぐ周りだけはどことなく古い町の面影を留めている。

寂光の美の堪能などとは無縁の情感を欠いた劣った人間を大量に生んでゆくのであろう、そうしたどこにでもある新興住宅地という名の産廃処理場の侵食を受けながらも、西宗寺―この一応の古刹は、今も変わらずこの地に鎮座する霊峰の肌を見据えている。

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所在

住所は福岡県福岡市城南区東油山4-6-5にて、電話番号は092-871-3194、最寄の電停は福大前駅、最寄のバス停は西鉄バスの油山停留所。

資料

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